夜の接客業をしているのなら、当日のMVPとなる可能性を秘める「同伴出勤」
なぜ、これほどまでに銀座の会員制高級クラブに限らず、日本各地の大半の高級クラブ等では「ノルマ」というものが存在するのでしょうか。
ノルマとは、主に、1ヶ月間にある一定回数の「同伴出勤(以下同伴ノルマ)」、もしくは「売上等をクリアしてください」というもので、本章では「同伴ノルマ」に絞ってお話をさせていただいております。
この課せられる一定回数の「同伴ノルマ」は、各ホステスさんによって異なるものであり、主に「日給金額」「週の出勤数」「接客業(クラブ)の経験等」などによって、変動し、とりわけ日給金額が高額になろうものなら、それに比例するように「同伴ノルマ」の回数は多くなる傾向です。
たとえば、日給金額が35000円程度になると、一般的に「同伴ノルマ」は4回~6回程度の設定となる傾向で、加えて「接客業の経験」や本人の適正等を総合的に加味されれれば、保証期間が延長されたり、「同伴ノルマ」の回数を少なく設定してくれたりと、ケースバイケースとなります。
保証期間とは「同伴ノルマ」が課せられない期間のこと
一般的に保証期間は最短で1ヶ月で、最長だと3ヶ月程度になり、平均すれば概ね2ヶ月で設定するお店が大半になり、これは時期や状況等によって変動することがあります。
さりとて、「同伴ノルマ」の保証期間が延長されたり、回数自体を少なくしてもらっても安心していられないのが、銀座に限らずですが会員制高級クラブは「厳しいよ」と言われるがゆえんです。
なぜなら、言葉を選ばずに申し上げるとするのなら、甘やかされたホステスさんの大半は、「同伴が苦手なホステスさん」になってしまう可能性が大だからです。
むろん、大器晩成型のホステスさんがいないわけではありませんが、「同伴ノルマ」というのは、大半の業界関係者からしてみれば、時間をかければできるようになるとは決して思われていないようで、「入店してからの初速」を活かせれば、早ければ1週間程度で「同伴出勤」をするケースもあります。
「入店してからの初速」とは
入店したての頃は、新顔として、さまざまなお客様の席に着く機会が多くなります。通常時の1.5倍から、最大でも3倍程度、多くのお客様の席で接客をする機会が得られます。
これは「新人ボーナス」と言えることができましょう。多くのお客様の席に着く機会に恵まれることで、次回のリクエスト獲得に繋げたり、同伴出勤に繋げられるような種まき(営業)ができる期間のことを指します。
もしも「遠慮しがちなタイプの女性であれば、せっかくの「入店してからの初速」を活かせないまま、新たに入ってきた新人さんが「同伴出勤」を早々とこなしてしまうというのはありそうですね。
とは言っても、マイペースで「同伴ノルマ」をクリアしているホステスさんも大勢おられるわけで、ご自身のやり方を磨くことができれば、毎日がチャンスとなるはずで、そう焦らずとも大丈夫です。
そもそも「ノルマ」はなぜあるのか
理由を1つ挙げるとするなら、接客業の経験が浅い20代前半~20代後半であっても接客業の適正や魅力次第では、一般的なOLさんの月給と比較してみると、一般的なOLさんをよりも平均して3倍~4倍多い月収を得られるからというもの。
つまり、月給が高額であるがゆえ「最低限これだけは仕事をしましょう」というもの。
昨今では、ミニクラブのような小規模のお店でも、ほんの僅かでありますが「ノルマ」が課せられることも。
会員制高級クラブのように日給金額自体が高額ではなくても、働いてれば何らかの貢献は求められることになるのは、どの形態のお店であってもあるようです。
貢献といえば、方法はさまざまで、たとえば「同伴出勤」ではなくても、「来店予約」や、お客様の「来店」に結びつくようなアシストなど、何らかの貢献に繋げられていればOKです。
ノルマを1つの目標として捉えることはポジティブな視点
余談ですが、水商売以外でノルマのある職種で言えば、主に営業職関連が挙げられるでしょう。銀行員や証券マン、保険やアパレルのショップ店員も売上ノルマ等が課せられることで有名です。
また、新車や中古問わず自動車の営業や、食品メーカー、百貨店等の販売員、不動産関連、郵便局員などさまざまな分野、加えて雇われの店長や社長などは、オーナー等から売上目標を提示されるでしょうから、これは実質ノルマと言って過言ではないのではないでしょうか。
また、ノルマはキツいというイメージを持たれがちでしょうけれど、頑張っただけの見返りがあり、収入が増加致します。さりとてノルマのある仕事に向き不向きはあるのではないでしょうか。
不向きな人は、営業を必要としない職種が向いているかもしれません。
同伴出勤へと繋がる複数の解
「同伴出勤」とは申しましても、同伴出勤になるまでの経緯やアプローチ方法は各人異なるものです。
自力で「同伴出勤」を獲得できることを得意とするホステスさんがいる一方で、他力を味方につけて「同伴出勤」を獲得できることを主流とするホステスさんもいます。
厳密に言えば、他力を活用できることも、すなわち自力と言っても過言ではなく、1つ言えることは、「自力」をどのように使うかが大切であり、より生産性の高い方向へ「自力」が発揮されることが鍵になりそうですね。
これは水商売に限らず、どんな職業にもあてはまる考え方でありましょう。
自力で同伴
営業中の接客や、日頃からLINEなどで交わされるお客様とのやり取りの中で、「同伴出勤」に繋がったケースや、自身の魅力はもちろんのこと、日頃からのお客様付き合い(ランチなどを含む)、アフターや、ゴルフコンペ等の付き合いなども大いに関係してくることも。
たとえばお客様が経営するカフェオープン日にお祝いに駆けつけたり、何らかの祝賀パーティに出席するなど、堅実な関係性が功をなすことが多々あるのだとか。大事な取引先との接待の席で一役買ったり、感謝されることがあれば、そのお返しからか「同伴出勤」に繋がることもあるとのことです。
他力で同伴
係りのホステスさんから同伴出勤をアシスト(お膳立て)されたり、ママやオーナーからお客様との席で、話題のレストランなどの話題がはじまったりで、会食に繋がったりすることも。
さらに、突然イレギュラーで決まった、お客様同士の会食などは何かと接待のホステスさんが足りなくなることも。そんなときにフットワークが軽く、柔軟な対応ができるホステスさんがその穴埋めに指名されることもあります。
むろん、穴埋めだとしても、日頃からの接客に定評があればこそですし、特に接待の席でも問題はなく、快く応じてくれるホステスさんであることが条件となります。
たとえ可愛くて美人で明るくて元気一杯のホステスさんだとしても、どこか破天荒で、どことなく空気の読めないタイプのホステスさんになりますと、「接待は得意ではないホステスさん」という見方をされることも。このようなタイプのホステスさんは、大事な接待の席にお呼びがかかることはまずないでしょう。
係りのホステスさんから同伴出勤をアシストされる
自分では同伴へ繋げられずに、遠慮しがちなタイプのホステスさんを見るに見かねて、係りのお姉さんが同伴をセッティングしてあげることもあるのだとか。
このようなホステスさんは、お店全体から信頼されている傾向が高いことが挙げられます。
幹部やママ、オーナー等からはからっていただき同伴出勤に繋がった
「何かあればいつでも飛んできますよ」というようなホステスさんには、頼み事をしやすく、頼まれやすいタイプと言うべきでしょうか。
このようなホステスさんのお住まいは、銀座から近かったりすることも。アフターなどのムリなお願いなどにも柔軟に対応できることも多いのだとか。
数多くのお願い事をこなしているうちに、気づけばナンバークラスへ成長というホステスさんもお見受けすることも。またお願い事の程度や種類によっては、見返りも大きいという声も挙がっています。
アルバイト感覚で働くとしても「ノルマ」はかかる?
空いている時間を上手に活用できるのが「水商売」じゃないの!?と思われるかもしれませんが、まさしくそのとおりです。
空いている時間を有効活用できるのが「水商売」の真骨頂。
そして、せっかく「水商売」をするのなら銀座で一流の会員制高級クラブで働くのが最適解!と思わずにいられないのも仕方はないのではないでしょうか。
なにせ、多くの富裕層が訪れるわけで、日給金額も破格と言えるでしょうから。
しかし、銀座だけに限ったことではありませんが、とかく「会員制高級クラブ」のシステムは、日給金額が破格。それゆえ「同伴ノルマ」が課せられるのは業界では常識です。
そして、コロナ以前には「ノルマなし」のお店もありましたが、コロナ禍移行からは激減し、とりわけ専門家である私達エージェントから見て、「ノルマなし」の高級店はノルマがない分、かなり採用基準が高い傾向のお店になりつつあるのです。
なぜ高額時給の「ノルマなし店舗」は採用基準が高い?
「同伴ノルマ」があろうとなかろうと、上位勢は「同伴出勤」をしてお店に入るか、多くの来店予約を取りつぎ「売上」に繋げられ、在籍できるホステスさん、キャストさんはお店に貢献できる人に厳選される傾向だからです。
魅力的でしょ?「基本ノルマなしです」の文言
たとえば、「同伴ノルマ」が嫌だなと思っている人がいたとして「基本ノルマなし」を大々的に謳っているお店の存在を知れば、そのお店が魅力的に映るのではないでしょうか。
つまり、「基本ノルマなし」のキャッチコピーを魅力的に感じる女性の人数は、比較的多い傾向である分、面接件数も多いというわけで、「基本ノルマなし」を真に受けて、採用となり働き始めたものの、入店後数ヶ月でお店への貢献が小さいと判断されれば、早くて翌月にはスライドによって最低時給に下がることがほとんどなのだとか。
スライドはこんな具合に設定されています
※某キャバクラのスライド
時給10000円 140P
時給9000円 120P
時給8000円 100P
時給7000円 80P
時給6000円 60P
時給5000円 40P
時給4000円 20P
それなら、会員制高級クラブのように、定められた回数の「同伴ノルマ」をこなしている方が、仕事的にはラクであるタイプの女性もおられるということをお伝えしておきましょう。
いずれにせよ、「ノルマ」をこなす、こなさないは一旦置いといて
水商売をするのなら「同伴出勤」に困らないように、魅力やスキルを磨かれるべきだと考えます。
「同伴出勤」に繋げるためのアプローチ方法はさまざまで、貴女に合った方法を見つけることが鍵です。
お客様の方から会食(いわゆる食事が終われば同伴出勤)などを提案されることが「王道」か!?
基本は、接客中などから始まる話題をきっかけに、自然な成り行きで同伴出勤に繋がるのがベストであると言えるのではないでしょうか。
同伴出勤は、時間にゆとりがあれば会食になりますし、時間にゆとりがないというのならカフェなどでの雑談を楽しむこともあります。
食事だけになってしまうことは?
特に銀座の歓楽街全体に言えそうですが、ベテランのお客様からしてみれば、同伴出勤というのは暗黙の了解として心得ており、夕方にホステスさんと食事をすることは、いわゆる同伴出勤とセットである認識です。
ですから、わざわざ「同伴」というキーワードを用いる必要は、ほぼ皆無と言えるでしょうが、例外はあるかもしれず、あくまでも銀座の歓楽街では一般的であるとお伝えしておきましょうか。
ところで一般的に言えば、お客様がしおらしく食事に誘ってきたり、緊張しながらアプローチしてくることはほとんどありません。
銀座の会員制高級クラブに慣れ親しんでいるお客様の大半は、クラブの「システム全般」を把握しており、意気投合しさえすれば、お客様との会食に繋がることは、ごく自然なことで、たいした難しいことではありません。仮に「鮨でもいきましょうか」となれば、どの程度のランク帯にある「鮨処」に連れて行けばいいのかを把握しているものです。
また、大御所とよばれるようなお客様ともなれば、一般的には予約の取りにくい「鮨処」であっても、いともたやすく予約を取ってしまうことも。
これは、鮨処の大将と親しい間柄というのもありますが、顔が利くといった点においては、流石といったところでありましょうか。
しかしながら、全てのお客様が大御所とよばれるような御仁ではありませんから「そういう人もいるんだ」という程度に留めておくべきです。
また、お客様の中には、レストランなどの予約を幹部スタッフや社長などに、セッティングを任せているいることもありますし、係りがいるのなら係りのお姉様が全てのセッティングを済ませるということもあります。
このような御仁達は、たとえ銀座にあまり詳しくない場合でも、周りの人たちがいろいろと世話を焼いてくれるので、気兼ねなく銀座で遊ぶということが成り立っています。
さて、「同伴出勤」は、お客様の方から提案された会食に応じる流れが「王道」の1つでありますが、このような流れを意図的につくることのできるホステスさんがおりますけれど、どちらかというと自然な流れで「同伴出勤」になるケースの方が多いようです。
お客様から、ショッピングを提案!?
ショッピングの後に同伴出勤!?
会員制高級クラブに限らずでありましょうが、働いていると、たまにエルメスや、シャネル、ルイヴィトンなど、ハイブランドのロゴが入った大きな紙袋を持って出勤してこられるホステスさんの姿を見かけることがあるでしょう。
同伴で入ってきた場合のほとんどは、お客様と楽しくショッピングというケースが。
実際のところ、歓楽街に訪れる富裕層の中には、プレゼントをすることが大好きなお客様がいるのは確かです。
むろん、そのようなお客様との縁があるかどうかは、時の運と言えるかもしれませんが、長いこと接客業をしていると、ある日思ってもなかった方法で、その縁は訪れるかもしれません。
潔く、笑顔で「同伴ノルマがやばいです助けてください笑」とアプローチするのは有効か
ときに、人間性や性格、そのお人柄によって、さまざまな人間関係が成立しているのだという。
たとえば、出逢ったばかりの人であるのに、相手に深い親しみを感じさせるケースがあったり、多くの人が畏敬の念をもって接する大物を、気さくな態度にさせてしまったり、三すくみの関係(ぐーちょきぱーの原理)によって、どう逆らおうともお願いごとを聞き入れさせてしまう間柄となったりと、人間模様が見せる化学反応は不思議極まりありません。
このように、理論的に説明のつかない状況下にある人間関係というのは、間違いなく存在しているようです。
U様との同伴
入店初期の1年前はよくお席着かせていただいていましたが、最近はU様のお席に着くことがなかった某会員制高級クラブのホステスさんのお話。
長くそのお店で働いていると、このようなお客様が数名はいるもので、お店で顔を合わせても笑顔で会釈を交わす程度であったのだとか。
ある日、エントランスですれ違いざまに、U様から「そういえば入ったばかりのときは、よく席に着いてくれたのに、なんや寂しいなあ」と冗談半分で交わされた話に華が咲いて、後日に会食をする機会に恵まれたのだとか。1週間後に晴れてU様と初めて同伴出勤へ。
お店に長く在籍することで、巡ってくるチャンスというものがあるのです。
ところで入店したての新人期間は、お客様に何かと甘えやすい時期でもあります。
新人なんでお手柔らかに、宜しくお願いします。という風に。
適切にお相手さえ選ぶことができれば、
「同伴ノルマがやばいです助けてください笑」
という言葉が、お客様の心に刺さることがあるのだとか。
滅多にお目にかかれないかもしれませんが「白馬の騎士」的な騎士道精神を誇りに思っているお客様なんかだと、「僕が助けてあげないと」と思うこともあるとかないとか。
余談ですが、心理学の視点で見ると、小さなお願いごとから始めて、結果を生む方法として「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」が挙げられます。
もしも貴女がシャイな性格で、日頃から遠慮しがちであるというのなら、まずは「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」から試されてはいかがでしょうか。
接客をしている中で、少し距離が短くなったと感じた相手に、まずは小さなお願いごとを口にしてみるのも、接客業ならではの楽しみの1つです。